海外FX業者の中にはECN口座を提供しているところがあります。
ECN口座は他の口座とは少し異質で、「スプレッドが狭い一方で、トレード毎に取引手数料がかかる」という特徴があります。
このような点から、敬遠されることも多いECN口座ですが、トレード上級者からは人気の高い口座になっています。
本記事ではECN口座の詳細とメリット・デメリットについて解説していきます。
FX取引方法の種類について
FX業者(ブローカー)は顧客とインターバンクやLP(liquidiyt provider、カバー先)を繋ぐ存在です。
ブローカーは様々な取引方法を顧客に提供しており、大きくはディーラーがいるかいないかを分けるDD方式とNDD方式に分類できて、NDDについては更に細分化できます。
本ページでの面となるECN方式はディーラーがいないNDD方式の中の1つになります。
まずは大雑把についてそれぞれについて解説していきます。
DD方式
DD方式とは業者と顧客が1対1で取引するもので、相対取引とも呼ばれます。
DD方式は国内業者の多くが採用しており、顧客の注文をカバー先に流すかどうかは内部の「ディーラー」が判断することになります。
基本的には顧客の注文1つ1つについて対応するのではなく、顧客全体のポジション具合と自社の取っているリスク量を見て、どれだけの量をカバー先に流すかを決めます。
ディーラーが顧客の注文をカバー先に流さない場合、当然ながら注文を呑むことになりますので、「顧客の損失=業者の利益」になります。
そのため、業者と顧客の利益相反が起きやすい取引方式です。
また、顧客に提示する価格についてはLPのレートを加工しているため、透明性は低いです。
業者内のディーラーは顧客のストップロス注文のレートが見えていますので、その気になれば価格レートを無理矢理そこまで動かして、ストップを狩って利益を出す・・・なんてことも可能です。
最近はあまり見られませんが、雨後のタケノコのようにFX業者が参入していた2010年以前は、業者によるストップ狩りが頻繁に起きていました。
こう書くとDD方式は悪いように聞こえますが、非常に狭いスプレッドを顧客に提示できるなどのメリットもあります。(国内FX業者のスプレッドが狭いのはこういった理由からです)
NDD方式
NDDとは、「None Dealing Desk」の略でディーラーの介入なしに顧客の注文をカバー先に流す取引方式です。
主に海外FX業者が採用している取引方式になります。
NDD方式では、複数のカバー先から価格の提示を受けて、その中から顧客にとって最も有利な売値と買値を自動で選び、それに業者の利益となるスプレッド(マークアップ手数料)を上乗せして顧客にレートとして提示します。
NDD方式はディーラーの仲介が入らないためレートの透明性が高く、顧客の取引回数が業者の利益になるため利益相反とはなりません。
STP方式
NDD方式の中の1つであるSTPとは、「Straight Through Processing」の略です。
インターバンク市場から提示された複数の価格レートの中から、顧客にとって一番有利な価格を自動的に選択して提示します。
STPではFX業者の利益はスプレッドの中に含まれますので、DDと比べるとスプレッドが広くなる傾向があります。
このSTP方式の中には更に顧客の注文を一度約定してそこからLPへ注文を流す「Instant Execution」と顧客の注文をそのままLPへ流す「Direct Market Access」の2つに分類できます。
Instant Executionでは、顧客の約定とLPへの注文にほんの少しのタイムラグがあります。(とは言ってもミリ秒単位)
このタイムラグの間は業者が顧客の注文を呑んでいることになります。
ECN方式
ECNとは、「Electronic Communications Network」の略で、ファンドやFXブローカー、証券会社や銀行なども参加する電子取引所にて取引をする方法です
顧客はFX業者を通して電子取引所にアクセスし、注文した価格と同じ価格で売りに出しているトレーダーがいたら、マッチングして取引が成立するという仕組みになっています。
取引所で取引をすることになりますので、板情報を見ることができるのが大きな特徴です。
また、もう一つの特徴としてECN方式では、外付けで取引手数料を受け取る形になっています。
ECN口座について
前述の通りECN取引は、「Electronic Communications Network」の頭文字を取ったもので、インターバンクにもつながる電子取引所にて取引をする方法です。
ECN口座では、スプレッドは非常に狭いですが、取引ごとに取引手数料がかかるという特徴があります。
また、実際の板情報を確認できるためトレンドの予想が立てやすくなるという特徴があります。
ECN口座はトレーダー同士でのマッチングが基本
通常のFX取引は、顧客とインターバンクを繋ぐ存在として「ブローカー」の存在があります。
取引の種類としてDD方式(Dealing Desk、相対取引)やNDD方式(Non Dealing Desk)がありますが、ディーラーとブローカーは異なります。
ディーラーは顧客の注文を受けて呑むかインターバンクへ流すかを判断する存在で、ブローカーはあくまでも顧客の注文を仲介する存在です。
ECN口座では仲介者無しに、トレーダー同士が直接売買のマッチングを行うことが可能です。
仲介業者を挟む場合には、不正なレート操作や、約定拒否(リクオート)のリスクがありますが、ECNの場合、仲介業者を挟まないので非常に公正な取引が可能になります。
ECN口座での取引には手数料がかかる
ECN取引は、他の口座と比べるとスプレッドが明らかに低いです。
しかしその一方で取引する手数料がかかります。
ECNでFXを取引する際は、単にスプレッドだけを見て計算するのではなく、スプレッドと手数料を加えた金額を計算しておく必要があります。
ECN口座のメリット
ECN口座のメリットとして以下が挙げられます。
- 価格の透明性が高く約定拒否されない
- 板情報を確認できる
- 約定スピードが速い
- トレードコストを下げることができる
①価格の透明性が高く約定拒否されない
ECN取引では、電子取引所によって売り手と買い手の注文が自動的に行われるため約定拒否がありません。
また、電子取引所はインターバンク等も参加しているため、価格の透明性が極めて高い点が魅力の一つです。
②板情報を確認できる
ECN取引では、ほとんどのケースで板情報を確認することができます。
板情報とは、どの価格にどれだけの注文が入っているかを示すもので、これを利用することで、サポレジラインの厚さや反発具合についての予測が立てやすくなります。
③約定スピードが速い
電子取引所では多くの市場参加者がいるため、顧客の注文とマッチすればすぐに約定されます。
ただし、年末年始やクリスマスなどの市場参加者が少ない時期は約定スピードが遅くなる傾向にあるのでこの点は注意しておきましょう。
④トレードコストを下げることが出来る
ECN口座は、他の口座の種類と比較するとスプレッドが非常に狭いです。
しかしスプレッド以外に取引手数料を支払う必要があるのですが、それらを総合しても他の取引口座よりもコストが下がることがあります。
この点については事前に計算しておく必要がありますが、検討する価値はあると思います。
ECN口座のデメリット
ECN口座のデメリットとしては、以下のような点が挙げられます。
- 最大レバレッジが低くなることがある
- 取引手数料が発生する
- 入金額と取引通貨量が大きい
- ボーナスがもらえない
①最大レバレッジが低くなることがある
ECN口座では他の口座と比べて、最大レバレッジが低く設定されている場合があります。
例えば、XMの場合ECNのZero口座の最大レバレッジは500倍ですが、他の口座では最大レバレッジは1000倍になっています。
②取引手数料が発生する
ECN取引の場合、スプレッドではなく外付けの取引手数料が発生する仕組みになっています。
しかし、スプレッドは非常に狭いため、トータルで見れば、トレードコストを下げられることもあります。
③入金額と取引通貨量が大きい
ECN取引の場合、他の取引方法と比べ入金額と取引通貨量が高く設定されていることがあります。
そのため、必然的にトレードロット数の多い方向けとなります。
ただし、ECN取引をされる方のほとんどが上級者なので気にならないとは思います。
④ボーナスがもらえない
FX業者の多くが入金ボーナスを実施していますが、ECN口座に関しては対象外となっていることが多いです。
これはFX業者にとってもECN口座はそれほど利益が出るわけではなく、取引手数料でしっかりと利益を確保していきたいという思惑があるのではないかと考えられます。
ECN口座を提供する海外FX業者
最後にECN口座を提供するFX業者をご紹介します。
XM
4種類の口座のうち、「Zero口座」がECN口座になります。
取引手数料は10$/ロットと高めです。
Titan FX
3種類の口座の内、「ZeroブレードECN口座」がECN口座になります。
取引手数料は3.5$/ロットでコスパは良いです。
Axiory
「ナノ口座」、「テラ口座」がECN取引になります。
ナノ口座ではECN取引専用のプラットフォームであるcTraderが利用できます。
取引手数料は6$/ロットです。
FXGT
「ECN口座」がECN取引になります。
取引手数料は6$/ロットで、暗号通貨取引も可能です。