本記事ではFX業者の設定するストップレベルとその確認方法について解説します。
ストップレベルとは、指値・逆指値注文を行う際に、現在の価格から最低限離れていなければいけない価格差(pips)のことを言います。
このストップレベルは、FX業者、口座タイプ、取引銘柄に応じて異なります。
特にスキャルピングでトレードする際や、EAを利用して自動売買する際は、予めストップレベルの数値について把握しておくことが非常に重要になってきます。
本記事でストップレベルに関する理解を深めていただければ幸いです。
ストップレベルとは
例えば、現在のドル円レートが150円だったとします。
ここでストップレベルが3.0pipsだった場合、指値・逆指値注文を入れるためには、149.97円以下、もしくは150.03円以上の価格を指定しなければいけないことになります。
もし149.99円に注文を入れようとしても注文が入りません。
簡単に言えば現在の価格からストップレベル分以上離れたレートでないと、指値・逆指値注文が入れられないことになります。
我々トレーダーからすると、ストップレベルとはスプレッドと同様に狭い方が有利になります。
例えば、3.0pipsで損切りを入れる手法でトレードしている人が、5.0pipsのストップレベルを採用する業者でトレードしたとします。
エントリーしてすぐに損切りの逆指値を3.0pips離れたところで入れたいところですが、この業者では5.0pipsがストップレベルですので、逆指値が入れられません。
そのため、ポジションが2pips順行してから逆指値を入れるか、順行しなかった場合は3.0pipsマイナスになったところで手動で切るしかありません。
これは非常に不便であり、損切り幅よりもストップレベルが広い場合は非常に不便でストレスを感じることになります。
ストップレベルが広いデメリット
ストップレベルが広い主なデメリットは以下の3つです。
- 取引チャンスや利益・損切りのタイミングを逃す可能性がある
- トレーリングストップが使いにくくなる
- EAが正常に稼働しないリスクがある
ストップレベルが広いと、自分が狙った価格で指値注文を出すことができません。
その結果、指値エントリー注文が入れられなかったり、決済注文が入らずに思わぬ損失が発生するリスクがあります。
特に短期売買で指値注文を頻繁に利用する場合、ストップレベルが広いとトレードの制限を受けてストレスを感じることが多くなるはずです。。
また、最大の含み益から一定幅の逆行した際に利食いする「トレーリングストップ」を採用する場合も注文が入らなくなる可能性もあるので注意して下さい。
EAによっては、狭い指値注文を多く入れるものもあります。
こういったEAをストップレベルの広い業者で利用すると、注文が入らないためEAのパフォーマンスを発揮することが出来ず、バックテスト結果と大きく乖離した結果となる可能性が高まります。
以上のようにストップレベルが広いとトレードに悪影響を与える可能性がありますので、必ず利用するFX業者のストップレベルについて確認しておくことをお勧めします。
海外FX・国内FX業者のストップレベルを一覧で比較
ここでは海外FX・国内FX業者のストップレベルを一覧で比較していきます。
国内FX業者のストップレベル一覧
入金額 | USD/JPY | EUR/USD | EUR/JPY |
DMM | 5pips | 5pips | 5pips |
GMOクリック | 6pips | 6pips | 6pips |
ヒロセ通商 | 3pips | 3pips | 3pips |
みんなでFX | 1pips | 1pips | 1pips |
オアンダ | 0pips | 0pips | 0pips |
SBI FX | 3pips | 3pips | 3pips |
FXTF | 3pips | 3pips | 3pips |
国内業者は全体としてストップレベルがあります。
オアンダやみんなでFXは別として、多くが3pips以上ありますので、国内業者を利用する際は注意が必要です。
海外FX業者のストップレベル一覧
入金額 | USD/JPY | EUR/USD | EUR/JPY |
XM | 0pips | 0pips | 0pips |
Titan FX | 0pips | 0pips | 0pips |
Axiory | 0pips | 0pips | 0pips |
BigBoss | 1.0pips | 1.0pips | 1.pips |
Traders Trust | 0pips | 0pips | 0pips |
Exness | 0pips | 0pips | 0pips |
HFM | 2pips | 2pips | 2pips |
海外FXの多くはストップレベルが0になっています。
以前は数pipsの所もそれなりにありましたが、最近はサービスの向上、サーバーの向上よってストップレベル0となっており、トレーダーにとっては歓迎できる状況です。
ストップレベルをMT4で確認する方法
ストップレベルはFX業者や通貨ペアによって異なるため、確認が必要です。
MT4を採用している業者であれば簡単に調べられますのでやり方をご紹介します。
まずはMT4左上の「表示」の中から「気配値表示」をクリックします。
気配値一覧が出てきますので、ストップレベルを知りたい通貨ペア名の上で右クリックして「仕様」を選択して左クリックします。
取引条件が出てきますので、上から3番目の「ストップレベル」の数値を確認します。
この例の場合はストップレベルが0なので、ストップレベルは無いことになります。
この数値の値はpipsではなくpointsです。(10point=1pips)
そのため、ストップレベルが30と記載してあれば、3pipsのストップレベルになります。
なぜFX業者はストップレベルを導入するのか
ストップレベルの採用は、トレーダーにとってメリットが一切ありません。
単に指値注文の最低幅を制限するだけなので、スプレッドやスワップポイントのようにFX業者の収入源にもなりません。
それなのに、なぜFX業者はストップレベルを導入しているところがあるのでしょうか?
その理由は、スキャルピングやEAなどによる過負荷から、サーバーやトレーダーを保護するためです。
スキャルピングやEAを使った高頻度の取引で、短時間で小さい値幅の注文が大量に入ったり、削除されたりすると、FX業者のサーバーに悪影響を与えてしまうからです。
最悪サーバーがダウンしてしまうと、それこそトレーダーにとって不利益をもたらすことに繋がりかねません。
特に人気があるFX業者の場合、世界中のトレーダーが利用するため、トレーダー保護の観点からストップレベルを導入しています。
そのため、ストップレベルがあるからといって一概に悪いわけではなく、サーバーがダウンするリスクが少ないという点はメリットといえるでしょう。
また、スキャルピングを認めないFX業者の場合、あえてストップレベルを広くしていることも考えられます。FX業者がどういったトレーダーに取引してほしいのかも考えて業者選び・口座選びをしていきましょう。
そのため、MT4を採用しないFX業者ではストップレベルのことを「利食い・損切り幅の下限値」「指値・逆指値の制限」などと呼んだりしています。